島の家に着いたら、まず自転車で寒霞溪方面に向かう。五分ほどで、U字カーブに出る。ここからは、はるか向こうに高松の壇之浦(源平合戦の場所)が見える。ここからの景色が左の絵だ。ここで止まって絵を描いていたら大概の車が止まって、何を描いているのか見に来る。
本当は下がダムで上から観光バスも降りて来るのでこんなカーブのところには止まれないのだ。しかし十分スぺ―スはある。
そこから二~三分でサルの王国のある銚子渓だ。このあたりでナイロン袋に何か入れて持ち歩いているとサルにひったくられるので要注意だ。
そこから四方指という景勝地まで車で20分かかる。
この写真は四方差の展望台からの風景だ。四方指からだと淡路島、瀬戸大橋、そして島根県の大山までが見える。ただし大山は冬場の晴れた日だ。
そこまでの登りが急で、寒霞渓から降りてくる車のブレーキが効かず崖下に落ちる事故が過去に何度かあつた。そのため、砂を高く積み上げた車止めを何か所も作ってある。
私の自転車はバッテリー付きだが今回は充電が十分でなかったため、途中の林の中に止めて、ヒッチハイクをする。
帰りは下りなのでバッテリーはいらないので引き返すのは簡単だ。登りは車のスピードも出ていない。手を挙げて止めると、“どこから来たのか”と向こうが驚く。“自転車で下から”、と言うともっと驚く。そこで「寒霞渓まで載せてくれればこの辺をご案内します」、といえば喜んで乗せてもらえる。
なぜなら、よほど何度も来ている人でも銚子渓や四方指の場所を知らないからだ。銚子渓にはお土産屋とおさるの王国があり以前はバスが必ず案内した。下の絵と写真は四方指と寒霞渓だ
私は寒霞渓より四方指が好きだ。四方八方に視界が広がりホッとするからだ。それと光線の当たり方が、寒霞渓とは全く違う。夕方には寒霞渓は日陰になるが、四方指は夕日が映える。それと寒霞渓はケーブルカーに乗ると紅葉が足元に見れるのだがロープウエーの床下は見えず、四方のガラス窓を締めていると、光が反射して撮りにくい。シーズン中は人がいっぱいで身動きもとれない。しかもスピードが速すぎる。カメラを構える余裕がない。それと寒霞渓が国立公園のため回りの木も剪定できない。そのため上から見てもモミジが埋もれてしまい昔ほどではない、ということだ。モミジよりも美しいのが最後二枚のウリハダ楓だ。様々な色に紅葉する。これが銚子渓から寒霞渓、星ケ城下まで道沿いに植えてあり、車を止めてみるべきだ。
翌日友人の大森さんが来てくれた。この人とは家を建てるに際し土地を測量をしてもらったことで知り合った。初めて会った日に、「小豆島の八十八か所紹介」の本と、小豆島の寒霞渓に特化した植物図鑑をくれた人だ。奥さんが植物学の博士?で、四国にある牧野富太郎記念館に何度も行っている。キノコでも何でも知らないものはない。
ご主人の大森さんは鳥が専門だ。鳥は声でほとんどわかる。夫婦で毎年のように北海道の北の端にある原生花園に一週間ほど車中泊をしながら行っている。この人が最初に西の滝に車で連れて行ってくれた。自転車でも行ける距離だが、上まであがるのは無理だ。とんでもない急斜面の崖に沿った道で、急坂の手前には対向車待ちの信号機が置いてある。「もし上から車が下りて来られたら困るので待ちましょう」と大森さんが言うので10分以上待ったが赤信号は変わらない。壊れていたのだろう。こんなところでどうやってすれちがえばよいのか考えただけでも恐ろしい。 この日は少し天気が悪くて夕日も見えなかった。
そこで次の日に一人で車で上がってみた。崖の中にもぐりこんだような金堂の前で下絵を描いていると雨が降ってきた。副住職が祈祷を希望する参拝客と上がってきた。
金堂の外で少し雨を受けながら描いている私を見て、「どうぞ金堂の中で描いて下さい。水道もよければ使って下さい」と言ってくれる。後で聞いたが副住職も絵が好きで,中学時代に描いた絵を先生が「これは3万円ぐらいで売れる」と言ってもらったことがあるらしい。私の絵を見て、この程度なら自分も描こうという気になったようだ。そもそもこんな良い景色の所に居て絵を描かない方がおかしい。
西の滝を車で上がるのは少し勇気がいったが、もう一か所、四の滝に近くて、車を途中の駐車場に止めて歩けば5分で行ける静かな札所がある。石門だ。ここの門からなら山道を30分登ると寒霞渓の頂上駐車場に行ける。帰りをロープウエーにすれば石門まで歩けるがバス二駅ほどあるので登った道を歩いて降りた方がよい。その後、駐車しておいた車で移動すれば便利だ。
石門という名のおこりは、大きな岩の真ん中がスポンと抜け落ちて門の形で残ったからだ。 .
●西日本の道の駅で一番に選ばれたオリーブ公園と映画村
石門から海岸線に出るとオリーブ公園はすぐ近い。ここの風車前で箒にまたがり空中を飛んでいるように撮るのが人気だ。ここから渡し船で二十四の瞳映画村に渡れる。車で行くと大変な距離になる。内海の映画村と目と鼻の先にあるのが三都半島で、その入り口にふるさと村と国民宿舎とコテージ村があり、カヌー教室と大型遊泳プールとがある。
三都半島には芸術祭に最も熱心な村がある。濡れても大丈夫な芸術作品は常設している。
そこを過ぎて最先端に行くと地蔵崎の灯台がある。