御前崎
御前崎は東京と大阪の真ん中に位置する。そんなことを考える人はいないだろう。しかし結婚前の私たちにとって思い出多い「出会いと別れの場」だった。泊まったのは浜名湖だった気がする。新幹線はオリンピックでできていたが、掛川や菊川の駅が出来ていたかの記憶はない。どこからでも行けるがどの駅からでも御前崎は遠い。しかし恋人にとって、出会ってしまえばもはや遠いも近いも関係ないのだ。
何十年ぶりかで行った御前崎はすっかり変わっていた。灯台の下には風力発電の風車が林立。かっては美しいレースのような砂浜がどこまでも広がっていた所は洗濯岩になり自衛隊の基地の近くの砂浜も浪荒いサーフィンのメッカになっていた。ちょうど夕日が焼津の方の浜に沈もうとしていた。
御前崎の砂浜で拾って私が渡した小さな紅貝のかけらを、うちの奥さんは今も大事に宝石箱に入れて持っているらしい。人間の幸せや喜びは大きいものや特別美しいものが良いというのではないらしい。私が御前崎の新しい写真を撮ったから見るかと聞くと、見たくない、記憶の中の美しい砂浜のままに残して置く、と言っていた。
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